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みどりウォーキングクラブ
重   田   昌   利

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 11月中旬、開成駅からだらだら坂の参道を登ること約2時間。
 11月とはいえ、身体にじゅわっと汗をかくも、大きな杉の木立から吹き上げて来る風にホッとひと息。
 安らぎを感じ、疲れも吹き飛ぶここち良さ、足どりも軽く、目的地の大雄山最乗寺に着く。
 山門脇に真っ赤に色付いた紅葉の美しさが、青空に映える。思わず感嘆の声を上げる。
 苦労して歩いて来た私達には最高のご褒美と言えるかも。

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 そして境内に思い思いの場所を見つけて昼食を取る。
 日だまりの椅子に腰掛けてお弁当を広げる人、グループで東屋で談笑しながら、おにぎりをほうばる人、朝早く起きて作った料理を分け合っている人、食事は人を和ませるひと時である。
 そんな憩いに浸かっていた時、突然強風が吹いた瞬間、今まで美しさを競い合って、真っ赤に色付いた紅葉が青空に吸い込まれる。
 高く舞い上がった数は、数千とも数万とも思えた。
gatag-000133472 天高く舞い上がった紅葉、ひらひらと舞っている姿は、無数の蝶が飛んでいるように写る。
 まるで別世界にいるような光景に暫く、手を休め天を仰ぐ、ひらひらと舞った紅葉の葉が、今度は一斉にカサカサと乾いた音をたてながら舞い下り、地面を這うように、くるくるとダンスをしながら境内の片隅に吸い込まれ、渦高く積み上げられる。

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 “風のいたずら”とは言え、夢を見たような光景は幾度も見れることは無いと思う。
 渦高く積み上げられた枯れ葉は、帰りの歩道でも楽しむことが出来た。
 真っ赤に色付いた紅葉は赤い「ジュータン」の上を歩いている気分になる。
 カサカサと音を立てながら歩く“風”が作ってくれた参道に感激、いたずらづきの“風”、時には迷惑な風もあるが、楽しませてくれる風は、憎めない“風”である。